踏んだり蹴ったり君、登場
下の大騒ぎな文章を入力しきって、
じゃあもう不本意だけど、稽古場に行こう!
なにはともあれ、
イビチャジャパン・イエメン戦の録画予約だけはしておこうと思ったら、
DVDがです。
DVDレコーダーがです。
・・・フリーズしました。
DVDレコーダーって、フリーズするんだぁ・・・
SONYのスゴ録なんですけどね。
電源入れると、情報を読み込んでいますって画面に出るんですが、
15分くらい情報を読み込み続けてます。
おかしいなあ。何をそんなに熱心に読み込んでいるのだ、DVD!
と思って、
一回電源切ろうと思ったら、
切れないんですよ、電源が。
リモコンの電池切れかと思って、本体の電源スイッチを押してもですね。
切れないんですよ、電源が。
これは、あきらかにフリーズです。
情報を読み込んでいます、じゃなくて、
情報を読み込んでいるふりをしています、です。
DVDフリーズは初めてです。
これは、再起動のしようがないです。
もう仕方がないので、コンセントから引き抜きましたよ。
で、プラグを差し込んで、電源スイッチを押したら、
一瞬、WELCOMEが出たんですけど、
あ、電源落ちた・・・・
今の一瞬のWELCOMEは何ですか。
嘘ですか。
嘘つかないでください。
現実を直視したくはないですけど、
HDDがやられましたか・・・・?
・・・・・・・・・これは、ヘコむ。
マジやられたし。
買った時に、店員さんに、
「HDDやられたら、DVDは終わりです。
修理もできますが、修理するよりは、これは買い換えた方が絶対にお得です、
と、その時に私は言うことでしょう」
とすでに、その時点で予言されてたんです。
まず買い換える金などない。
そして、次には、
今日のイビチャ・イエメンが予約録画できないってことです。
(ジャパンはどこに行った。オシムもな)
さらに、金の問題ではすまないのは、
この前のワールドカップの録画分を皿に落としてないまま、
HDDがやられたってことですよおおおおおお!!!!!!!
待ってくれ。
BSの再放送、日本戦全部終わってしまったか?
あの再放送は見ることはないだろうと思ってたから、
放送スケジュールが全然判らないんですよ。
決勝トーナメントはまだですか!?
そして、再放送では絶対にオンエアされないであろう、
ガットゥーゾ、パンツ脱いでるんじゃねえ!が、
永遠に失われたという現実に、今私は直面しているのだ。
マジすか。マジすよね・・・
呆然としたまま、稽古場に到着したら、
私が入った途端に、
プロデューサーのデスクの島の皆さんが、
一斉に振り向いた。
「飯島さん! 大丈夫ですか?」
あまり、大丈夫じゃないですが・・・
でもまあ、問題は、今夜のイビチャイエメンと
ガットゥーゾ、パンツ脱いでるんじゃねえ!なので、
まず、イビチャイエメンは、キックオフは夜だから、
これから、誰かに頼めばまだ間に合うと思いますので、
あと、残された問題は、
ガットゥーゾ、パンツ脱いでるんじゃねえ!ですかね。
私にとっては、ガットゥーゾ、パンツ脱いでるんじゃねえ!は、
すっごく大事ですが、
サッカー的にはそれほど大きな意味はありませんし。
ジズーの頭突きは、再放送にも映るでしょうから、問題ないですが。
そんなに心配して頂いて、本当にありがとうございます・・・え?
は?
パソコン?
パソコンですか?
パソコンがどうかしましたか?
忘れていた・・・・
そうだ。
パソコンの電源が入らなくなっていたんだっけ・・・・
「プライベート・ライヴズ」制作現場的には、
イビチャもガットゥーゾもどうなってもいいんですが、
パンフレットの原稿だとか、
そういうものは、なくなってはならないものでした。
しかも、それは今日あれ!な原稿でした。
イビチャ予約不能とガットゥーゾのパンツ脱いでるんじゃねえ!消失の衝撃に、
原稿のことなんか忘れてた。
まずかった。
でも、原稿は書けばまたあるけど、
ガットゥーゾのパンツ脱いでるんじゃねえ!は、
書けないんですよ!?
また書けばいいものなんか、なんの価値もないですよ。
・・・・はい、今すぐ書きます。
が、ガットゥーゾのパンツ脱いでるんじゃねえ!消失は、
それにしても痛手です。
すぐさま「プライベート・ライヴズ」が、どうのなんてことは、
考えられるわけがないんですが・・・
が、
それは言えない。
さすがに言えない。
ここでそれを言ってはいけない・・・
と、演出・山田が、
「飯島さん、どうにもならないことが、起こってしまうことってあるんですよ」
と、声を掛けてきた。
どうした、山田。
ここはいつもの山田なら、
「書き直しこそが脚本家の仕事なんだから、
ただ、さっさと書き直せばいいだけじゃないですか」
と丁寧語で、
心底ムカつくことを言う場面だ。
違う、これは山田じゃない・・・
「本当は何があったんですか? 誰にも言いませんから、話してください」
怪訝に思いながらも、私は、
本当に辛いのは、原稿を書き直すことではなく、
ガットゥーゾのパンツ脱いでるんじゃねえ!消失であることを、
山田に、切々と訴えていた。
ガットゥーゾのパンツ脱いでるんじゃねえ!が、
永遠に失われてしまった喪失感から立ち直るすべを知らない、
私の今の心情について、
山田は、親身な表情でずーっと聞いている。
そもそも、山田はガットゥーゾが誰だか知らないはずだ。
それでも、
「ガットゥーゾのパンツ脱いでるんじゃねえ!がなくなるなんて、
それは、あまりにも悲劇だ・・・」
という顔をしている。
もらい泣きさえしそうだ。
嘘だ。これはあからさまに演技だ。
が、痛手を負っている人間には、それは優しさに見える。
なんか、山田和也、優しいぞ。
へこんでいるので、山田が優しい人のように思えてきたぞ。
騙されるな、私!
ああ・・・・・そうか!
これが、稽古場に不穏な空気を絶対に作り出さないという・・・
あの、演劇界の、伝説の・・・
山田和也の「水も漏らさぬ演出」
ではなくて、
山田和也の「水が漏れた場合は、
漏れたところを、とりあえず、手で押さえておきますから、
あとは、演出部がガムテでも貼って、補修しておいてください演出」の真髄か。
どんな演出って、そんな演出ですよ。
水も漏らさぬ演出より、
対処方法が具体的で指示が判りやすいでしょう?
そういう演出なんですよ!
現場に何かトラブルがおきそうになると、
演出・山田は、いち早く察知して、
とにかく何とかして、
現場が止まらないようにする。
誰かが落ち込んでいたりとか、人間関係にヒビが入りそうになったりすると、
どんな手を使ってでも回復を図る。
その手腕はすごい。
山田は、飯島が、
「パソコンが立ち上がらないし、原稿は書き直さなくてはならないし」
ということ以外に、
もっと大きな痛手を抱えているのを、あっという間に見抜いたのだ。
そうなると、山田の行動は、早い。
知らないガットゥーゾを知ってるふりすることなんか、
朝飯前だ。
それどころか、今すぐにでも、
NHKに直談判して、ガットゥーゾのパンツ脱いでるんじゃねえ!を、
DVDに落として、取り寄せるということさえしそうな勢いだ。
いや、やる。
山田なら、やる。
その証拠に、
舞台監督・舛田さんが、
「俺がなんでパンツ脱いでるんじゃねえだか何だか知らねえものを、バイクで取りに行かなきゃならないんだよ。それって明らかに芝居と関係ねえじゃん。ふざけんじゃねえよ。そうじゃなくても、やること間に合ってないんだよ。しかも新たに仕事どんどん増えてるし。だから、何がパンツ脱いでんだよ。女じゃねえなら、パンツ脱いでも面白くねえだろ。今日は停電じゃねえから、信号が赤とかになってるし。赤だったら、さすがの俺でもバイク止めなきゃいけねえんだよ。そんなにパンツ脱いでるとこが見たいなら、俺がパンツ脱ぐから、それでいいだろ。ギャラは払えよ。こっちも慈善事業じゃねえんだから」
とか言いながら、すでにメットかぶっている。
それはマズい。
「いえ、山田さん、そこまでして頂かなくてけっこうですから」
NHKにバイク飛ばされては、
さすがの私も困るので、
ガットゥーゾのパンツ脱いでるんじゃねえ!は置いといて、
原稿を書くことにした。
ようやく稽古だ。
・・・・ここまでなげえ・・・・
今日も、葛山しんちゃんと久世のんちゃんの、
悪魔の親玉・渥美さんが遺していった負の遺産の、
返しからだ。
悪魔の親玉・渥美さんの悪魔の所業については、
今はまだここにあります。
悪魔の親玉・渥美さんが、これに気づいたら、
多分、消されてしまうと思うので、
読むなら、今のうちです。
そして、昨日からようやく稽古が始まった詩梨ちゃんの見せ場です。
ここのメインの詩梨ちゃんと、
あとついでに、西様と衣ちゃんの稽古をしてる間に、
しんちゃんのんちゃんは、ここまで、出続けて、
「もう一言の台詞も、
一個のきっかけも入りません・・・」
という状況なのだが、
休んでいる場合ではなくて、
次の台詞を入れなくてはならない。
もう、昨日の段取りなんか、忘れててもおかしくないのに、
ここから先の台詞を入れてるのだから、
それはもう大変なことです。
イエメン戦のキックオフと、
ほぼ同時に、稽古が終わりました。
ほーら、これが山田真実の姿です。
これでもかというくらい底意地の悪いやり口です。
これから、帰るでしょ?
帰途で、試合が終わるでしょ?
駅から家まで歩いてる間に、
結果を喋ってる通りすがりの人の言葉を聞いちゃうんですよ。
2-0か・・・・
ああもう!腹が立つ!
今日は、パンフレット用のインタビューの最後の一人、
葛山しんちゃんのインタビューです。
しんちゃんから、世間に知れてはならない秘密を、
飯島が勝手に聞き出さないように、
しんちゃんの事務所の、
ハットリ・シンちゃんが、デスクの脇に、
座っています。
この人が、ハットリ・シンちゃんです。
しんちゃんの事務所のシンちゃんです。
区別がつくように、
ハットリ・シンちゃんはカタカナ表記です。
稽古場の前室の机で、
邪魔にならないように気配を消して仕事してるのですが、シンちゃんの意志に反して、存在感がデカいです。
愛媛で野球に打ち込んでいたのに、
何があったのか東京に出てきた18歳です。
未確認ですが、別の情報によると、48歳で18歳の息子がいるとういう説もありますが、どっちが真実なのかは、確認されてません。
頭がいっぱいいっぱいの葛山しんちゃんに、
一応質問してみると、
「え・・・それは難しいですね。ちょっと考えさせてください。いいですか?・・・」
と言ったまま、長考に入ってしまった。
黙るな。録音してるんですけど。止めますか?
そんな難しい質問じゃないだろう。
誠実に質問に答えようと、稽古でもうへとへとのしんちゃんは、
頭を回そうとするのですが、どうも回ってないみたいです。
もう、いいから、いくらでもゆっくり考えてください。
で、
葛山しんちゃんが、長考に入ってしまったのを、
何とかフォローしようと、
ハットリ・シンちゃんが、
答えを一所懸命考えている。
いや、ハットリ・シンちゃん、
あなたの答えは、別に必要ないんですけど。
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