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2008年1月30日 (水)

空気を支えるということ

「ウェディング・シンガー」稽古は、
今日は、
オーケストラの皆様が稽古場にいらして、
オケ合せ、始まりました!

馬鹿の感想だけど、
全然違うぞ。
初めて聞く音だあああっ!
かっこいいぞおおおおっ!

と、当たり前のことにエキサイトする大馬鹿は私です。

で、
クールなマエストロ・塩田さんを、
初めて見たぞ。
なんか知らんが、かっこいいぞ。

もしかしたら、別にクールでもなんでもなくて、
世間一般的に言えば、
普通な状態なのかもしれないが、
なにせ、稽古場でも、
常に、
テンションアゲアゲ&「こんにちは山崎邦正です」状態なので、
それが塩田さんだと私は思ってたので、
塩田さん的に、
相対的にクールなさまは、
かっこよかったでした。

オーケストラの音が入ったので、
音楽まわりの抜き稽古だけど、
出演者の皆さんも、
かなり雰囲気違います。

初風ロージーおばあちゃまは、
今日はナンバーは一曲だけど、
とっても楽しそうです。

「昨日、鎌倉で、
ロージー用の、
ロージーなアクセサリーをいっぱい買っちゃったの。
安かったんだけど、
とってもロージーで、可愛いの♪」

と、仰ってました。
ロージー・ピンクなアクセも可愛いと思うけど、
もっと可愛いのは、初風さんご本人♪

そのほかの皆様も、
本番向けモードのテンションだ!
初めて見る表情とか、
歌とかダンスとか、
いいもん見せてもらいました。

井上ロビー、
歌だのきっかけだの、
一番多くて大忙しだけど、
トップギア、入ってる感あるし。

井上芳雄さんのどこが素敵か、
なんてことは、
今更ことさら私が言うまでもないことです。

井上さんを見続けてきた多くのファンの方々の方が、
私なんかより、よくご存じだろうと思います。

キュートだし、
かっこいいし、
背は高いけど、
新納ジョージじゃなくても、
抱きしめたいと思っちゃう時ばっかだし。
歌ってる時は、
他にやらなきゃならない作業があったとしても、
当然、どーしても見とれて、完全に惚れるし。

が、
舞台でしか、井上さんを観たことがなかった私が、

「井上芳雄という人は、
ただもんじゃねえな・・・・」

と思ったのは、
通しで読み合わせもしてない時の、
最初の立ち稽古の時でした。

台詞は入ってはいても、
まだ、思い出そうとしなくても、
自然にすらすら出てくる状態にはなってなくて、
立ち位置とか、段取りとかも、
決め始めたばっかで、確定してないですっていうか、
今決めようとしていますっていう、
ほんとに、
稽古始めたばっかですって時だったけど、

その時すでに、
稽古場で、

井上さんは、
あきらかに、
日生劇場全体の空気を支えるつもりの、
たとえ舞台の上にいるのが、
井上さんただひとりだとしても、
全部引き受けるつもりの芝居をしてました。

そりゃ、
「モーツァルト!」終わったばっかで、
毎日、帝劇の空間を支えてた人ですけど、

「どうするのか、まだほとんど決まってません」
という始まったばかりの稽古場で、
すでに日生劇場全体の空気全てを支える意識を持っているというのは、
物凄いことです。

本息で芝居しなくて、
流してやってください状態の稽古で、ですよ。
実際、段取り優先で、
芝居は本息じゃなかったけど、

でも、なのに、
すでに、
劇場全体の空気を全部支える意識を、
確実に、
井上さんは持っているのだということが、
私にでさえ、判るんだから、
これはほんと、
とんでもなく物凄いことです。

言うまでもないけど、
デカイ声で台詞を言うとか、
オーバーアクションで芝居をするとか、
テンションあげるとか、
感情を込めるとか、
力いっぱい熱演するとか、
そーゆーことと、
劇場全体の空気を支えるということは、
全然違います。

勿論、本番になったら、
気持ちもテンションも、
歌も台詞もダンスも、
全部投入して、
舞台を支えることになるのは当然だけど、

段取りとか、
芝居とか、
気持ちとかも、
決めになってない稽古始めたばっかりの時に、
すでに劇場全体の空気を、
ひとりででも支えるつもりで稽古する、
というのは、
なんか別の意識と感覚がないと、
絶対にできないことです。

むしろ、
テンションを上げて、
思いっきり感情を込めて、
熱演する本番の舞台、
じゃない稽古の時に、
劇場全体の空気を支える意識を、
すでに、常に持つ方が、
全然、難しいです。、
おそろしいテクニックとセンスです。

血管切れるんじゃないかってテンションで、
バリバリに気持ち作って、
素敵な芝居をしてるんだけど、
すごく残念なことに、
支えてる空気が、
使ってる力に比べると、
かなり小さくて、
伝わらないことが多くて、
ほんと勿体無い!!
という、役者さんもけっこういます。

「稽古始まったばっかの、
今の時点で、
劇場の空気全部を常に支えようとし続けて、
引き受けているっていうのは、
ものすげえな・・・」

と圧倒されました。

素敵だとか、
抱きしめたいとか、
惚れるとか、
心奪われるとか、

そーゆー感情のレベルじゃなく、

「主役なんだし、そう思ってて当然でしょう」とか、

そーゆー理屈のレベルじゃなく、

そこにあったのは、
とてつもなく物凄い、
そして、
滅多に目の当たりにすることができない種類の、
パワーと意識でした。

ああ、もおおおっ!!
絶対伝わらないだろうな。
自分の書くことが、
事実に追いつかないのが、
死ぬほど、もどかしいです。

井上さんは、
武道館だろーが、
東京ドームだろーが、
日産スタジアムだろーが、
ゴビ砂漠だろーが、
(ゴビ砂漠で何やるんだ?)
どこまでも意識を拡大して、
空気を支え切るんだろうなと思いました。

勿論、
本番になったら、
出演者もスタッフも、
全員が、
ひとりでも劇場全部引き受けるつもりで、
やります。

ひとりでも支えるつもりの人が、
何十人もで舞台を作ってます

さらに、芝居は、
勿論、
ひとりずつでやるもんじゃないので、
一緒に芝居をする役者さん同士のアンサンブルや、
スタッフとの連携で、
エネルギーと空気の濃さが、
何乗にでも倍増します。

だから、
本番は、
日生劇場100個分以上の濃い空気が、
1ステに凝縮されることになると思います。

プラス、
お客様が支える空気は、
計算できません。

てことで、
劇場の空気は、
普通の場所では、
ありえない濃密な空気になるんだと思います。

その密度の濃い空気は、
劇場以外には、
そうそうないです。

だから、
劇場に行くのは、やめられないです。

(たま~に、
「あれ? 今誰も支えてないかも・・・」
って、スカッと薄くなっちゃうアクシデントもあることはあるんですけど、
・・・・・まあ、言い訳じゃないけど、
それがライブですから・・・
それも面白いことの一部ですから・・・・・・
って・・・・言い訳か?)

映画もドラマも、
私は大好きですが、
あの密度の濃い空気には、
劇場じゃないと、出会えないです。

その時に、舞台の上で、
台詞だの段取りだのは決まっているとはいえ、
今、そこで気持ちが動いている人々が紡ぎ出す、
めっちゃ密度の濃すぎる空気は、
こたえられないです。

・・・と、
そんなことを考えながら、
稽古見てたんですけどね。

予定通りに順調に稽古が終わったのは、
素晴らしいことなんですが、

帰る時間が、

ものすごく微妙だ・・・・・

今帰りたくない・・・・・

今帰ると、
日本VSボスニア・ヘルツェゴビナが、
後半始まったばっかの時に、
家に着くことになってしまう・・・・

・・・最悪だ。

途中から見てしまったら、
最初から見る気力なくなるし。

仕方ないから、
ひとりで喫茶店入って、
無理矢理違う仕事してました。
仕事は何も進まなかったけどな。

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